SPITZ JAMBOREE TOUR 2019-2020 “MIKKE” @福岡マリンメッセ 2019.12.28 ②

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和やかなMCのあと
みんなの心が少しほぐれて
そのあとに始まった曲。


6曲目。
「遥か」


空を切る風のような
コーラスが
響き渡る。

そこは
雲の上だった。


遠い記憶を手繰り寄せるように

雲の間の景色に
目を凝らす。


やさしい調べに
背中を押されて

雲の階段をのぼる。


途中でいろんな思い出が
目の前に現れては
消えていく。

 
 丘の上に立って

 大きく風を吸い込んで

 今 心から言えるよ

 ニオイそな I love you
 

魔法のように

マサムネさんが
歌ったとき


私の背中に
もうひとつの翼が生えた気がした。

そして
一緒に飛び立った。


空の遥か彼方へ。


そう

ここからは
空の旅だった。


7曲目。

「快速」


きらきらと
光る

雲間の光を遮って


眼下を見下ろすと
そこに広がっているのは

町の風景だった。


心臓の脈打つ音のような
リズムと一緒に
私の鼓動も早くなる。

胸の
ときめき。

町には
一本の道が
まっすぐ
続いていた。

その果てしなく続く
道に沿って

飛行を続ける。


どこまでも。

どこまでも。


この先に
何があって
誰が待っているのか

わかりすぎるくらい
わかっている。

どんなことが
起きるかは

わからないけど

それでも
前へ
前へと

進みたい気持ち。


抑えられないほど
胸が高鳴る。


どきどきが
最高潮になり

その想いが
体を貫く。

そして
少しだけ
気持ちが

静まり

夢うつつのまま
進み続ける。

どきどきに
身をゆだねながら。


それを
何度も繰り返す。

その反復が
自分を

前へ
前へと
進ませるのだ。



8曲目。

「放浪カモメはどこまでも」。

こちらも
最初は
何の曲か
わからず

歌詞を聴いていて
この曲か
と思う。

そうか
カモメだったんだな

と思いながら
聴く。


どきどきを感じながら

雲間を
抜け出した

一瞬

視界が開ける。


青空が広がる。


そして
自分が
飛んでいる理由が
わかる。

はっきりと
わかる。

会いたい
気持ち。

自分を
動かしている
その気持ちは

ただ

「好き」

という気持ち。



「会いたい」

という気持ちだ。




 そんな素直な気持ちで
 
 会いに行きたい

 愛にあふれた短い言葉を


 たったひとつだけ



マサムネさんの歌声が
響く。

まっすぐに。



シンプルだった。

世界のいろんな複雑な
仕組みが

ちっぽけに見える

そんな気持ちすら
わかないほど

そのとき

世界には

その気持ちしかなかった。



たったひとつだけ。



それしか
なかった。

なんてしあわせなんだ

って
心から思った。


高らかに
マサムネさんの声が
宣言するようにして

曲が終わって

歓声。


もちろん
その想いは
しっかりと

受け止めました。

だって
私だって

同じだったから。


9曲目。
「点と点」


この曲も
聴いたことがなかった。

大人っぽい雰囲気の
色気のある曲。

ベースがかっこいい。

低く奏でられる
別のメロディーのようで

それは
曲を黒く形どる影となって
よりその輪郭をはっきりとさせる。


曲は大人っぽいけれど

歌詞はかわいい。

 桜色のホッペが
 煩悩を正当化していった

とか

 悲しい記憶の壁
 必死こいてよじ上った

とか
歌っていて

途中で
何度かふと微笑んでしまう。


けれど

まっすぐさは
変わらない。

この曲の雰囲気で


 まっすぐに君を見る

 ナナメの風の中

 どうでもいいことなんて

 無くなる

とか
歌うのは
反則だと思う。

そんなまっすぐな目で
見つめられたら

どうしていいか
わからないよ

思ってしまう。


風がやんで
やっと

姿を現す
キミ。


会場の遠く離れた位置にいても

マサムネさんが
まっすぐに

私を見ているような気がした。


どきどきした。


こうして
私たちは
向かい合ったのだった。


10曲目。

「ラジオデイズ」

明るい日々の始まりを
おもしろおかしく告げるような

崎山さんの
ドラムで
この曲は始まる。

こうして
私たちの生活は

始まった

とか
なんとか

ナレーターまで
つきそうだ。

ラジオ賛歌

巷では評判のこの曲。

私は
その
もうひとつの意味を
まだ
ブログでも書けていなかった。

ちょっと
半信半疑な気持ちで
曲を聴くことに
なりそうだったので

この日は
音の楽しさに
体をゆだねて聴いていた。


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この曲のあとに
2回目のMCがあって。

マサムネさんから
FM FUKUOKAでも
「ロック大陸漫遊記」
が放送されることになったと
アナウンスがありました。

それまでに

私が
マサムネさんの
ラジオを
聴けたのは
ほんとうに
数日しかなかったけれど、

私は
マサムネさんや
スピッツのメンバーのみんなが
好きと言ってる音楽を

教えてもらえて

あの日々は
本当にすごく楽しかった。

洋楽って
本当に知らない世界だったので
教えてもらえるなら
マサムネさんに教えてもらいたい
と思っていたので

嬉しかったです。

たぶん、この話
「ありがとさん」にも
関わるお話なだけど

この間書いた
「ありがとさん」の曲の感想には
それもまだ書けていなかったので
実はちょっと私の中では
このあたりが
まだ腑に落ちていない感じだったのです。

でも
この曲のあとのMCで
今度福岡でも
マサムネさんのラジオが
聴くことができるようになる
というお話を聞くことができて

すごく嬉しかったし、
本当に
いろんな想いが
すっきりとしました。

改めてわかったことは

マサムネさんは
本当に
やさしくて

本当に
素晴らしい人なんだなぁ

という当たり前の
事実でした。

これから
本当にマサムネさんとの
ラジオの日々が始まる。

楽しみですね♪

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でね、

たぶん、そのあと
マサムネさんが

「この1年は本当にこの曲一色でした。」
と言って
次の曲に移るわけなんだけれども。


マサムネさんの
その言葉を聴いたときに

私は、なんだか
ちょっと恥ずかしくなって
下を向いてしまいました。

私は
この1年
本当に
スルーし続けてきたから。

今日改めて
「ラジオデイズ」の
歌詞を読んだら

「ラジオデイズ」にも 
“手探りばっかで 傷だらけになったけど”
って
あったね。


。。。。。。。。ごめんなさい。


とにもかくにも
そうやって始まったのが
次の曲。


11曲目。

「優しいあの子」。

もはや説明など
いらないと思われるほど

みんなが知っているこの曲。

私は
私なりの想いを持って
この曲を聴きました。


今までで
一番すっきりとした気持ちで
聴けたような気がします。


私の隣に
たぶん夫婦で来られたみたいな
二人組のお客さんがいて

女性の方が
そっと涙を拭っていたから

たぶん
みんなそれぞれの想いをもって
この曲を聴いているんだなぁ
ということを

改めて感じました。


ライブが終わって

またいろんなことを考えて
今、この感想を書いているけれども

改めてわかることもあって。

この間
スピッツ
さりげなく
愛してくれると
書いたけれども

マサムネさんの愛は
本当に深いな
と思いました。


それに反して
私は
なんて酷い人なんだろう
と(笑

思わずにいられません。
(笑いごとじゃないね。)

でも
こんな私の心でも
溶かしてしまうほど

マサムネさんの愛は
深かったのです。


がっかりした?。。。。よね。

そうだよね。。。。


でも
こんな私にも

素敵な歌を聴かせてくれて

本当に
ありがとさん♪
(↑マサムネさんのマネ。)

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というわけで
12曲目。

「ヒビスクス」

(この曲と実は13曲目「プール」までは
 別に書いた「漂流記顛末~抄~」という文章に
 雑感を含めた印象を書いています。)


ステージが
暗くなって

天井から吊るされた青いライトが
だんだんと下がっていき

ステージ上がまるで深海の底のようになる。


海の底。

ここからは
深い
深い

青の世界だった。

そこは
人の心の奥底のように暗かった。


ところどころに灯る
赤い光も
暗く沈んでいて

それは
体の中の

血に染まった
臓器みたいにも
思えた。



悲しみ

孤独

という言葉を連想させた。

そこは

意識の底。


または
いのちの始まりのような
場所でもあるのかもしれなかった。


だから
そこにある心象風景は

さっきの
空の旅とは違って

悲しみに彩られていて

ある
覚悟ともいえるような
想いもはらんでいる。

死すら
厭わないような。

ピアノの調べは
とても性急で
心を波立たせる。

何度も
何度も

その光景を
繰り返し
見てきたのではないかという
後悔みたいなものも
感じた。

でも
その先にあったのは

悲しみではなかった。


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13曲目。
「プール」


 君に会えた 夏蜘蛛になった


このフレーズについて
他の方の書いた文章を読んだことがある。

抱き合った男女の手足が8本脚の蜘蛛みたいに
なっている

という。

なるほど、と思った。

でも、私が
この曲を聴いたときのイメージは
実はそれとは違っていた。


抱き合った男女の蜘蛛のように見えるかたちは
天井から俯瞰したときにしか
見えない風景だ。

だから、それはまるで
天井に張り付いた蜘蛛か
神様みたいな視点でしか
見ることができない。

私は違った。

この日、
実際に直接歌を聴いてみて

その印象は
変わらなかった。



私たちは
お互いの
白い銀の糸で

互いに

絡ませあいながら

縛りあいながら

くるくると
転げあった。


白い糸は

繭みたいに

二人を
二人だけの世界にして

二人を
守った。


食べる?


食べない?


ふざけあいながら

首筋に
かみついた。


繭は
風に吹かれて


落ちていった。


水の底に。




繭はいつしか
溶け出して

二人の形も
溶けてなくなっていった。


たぶん
それが

あるいは

生まれ変わる


ということなのかもしれない。



幻想的な響きが
長く続いた。

この場面の音の響きは

ひたすら
美しいとしかいえない。

音の作り出す
甘美な世界だ。



ゆっくり

ゆっくりと
私たちは
ひとつになっていった。


そして
消えていったのだった。


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14曲目。
「まがった僕のしっぽ」

この曲が
ここで挿入されたとき

ちょっと意外だった。

今思うと
現実と夢の世界で
たゆたうような時間から

ふと
現実世界に戻った瞬間なのかもしれない。

我に返る
というか。

決意を新たにする
というか。


自分が生きることの
本当の意味を
手に入れたあとのような
爽々しさを
感じる。


現実世界
と言っても
この曲は
とても戯画的だ。

音の作り方によって
場面が急転換する。

  波は荒くても この先を知りたいのさ
  たわけもんと呼ばれた 魂で漕いでいくのさ

ここから
心に秘めた
熱い魂を感じるフレーズが続く。

疾走感のある
ギギギという歪んだような
ギターの音も
さらにその荒々しさを際立たせる。

まさに嵐の中を
突き進む船のようだ。


私が一番素敵だと思う
フレーズはここだ。


 優秀で清潔な地図に

 禁じ手の絵を描ききって

 楽しげに果てたい



こう歌いきるマサムネさんに
惚れ惚れする。

本当にカッコいい。

(詳しくは後日、曲の感想のときに改めて書きます。)

そんな勢いのある曲に
乗って

体が動かないはずもなく

会場では
やはり静かめの落ち着いたお客さんが
多かったなかで

一人飛び跳ねながら
聴いていました。(笑


そして、
再び
穏やかな凪の海のような風景に
戻るわけだが。

まがったしっぽは
隠せない。

そんな
スピッツのロックな曲で
第一部終了
ということで。


(→このあとメンバー紹介とそれぞれのトーク
  15曲目以降は③に続きます。)

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記事タイトル修正のため再up 202001131802
2020年01月14日非公開。
2020年01月18日再公開。
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